2020/10/01

65 あきらめなければ思いはかなう?

 「あきらめなければ思いはかなう」
何かを目指して努力している人を励ますために、よくかけられる言葉だ。
何年か前に、毎朝放送されていたTV番組のキャッチフレーズでもあった。
しかし、ほんとうにあきらめなければ思いはかなうのだろうか。
思いが強ければ、願いはかなうのだろうか。

「力が同じなら、思いが強い方が勝つ」
かつて、日本サッカーチームがものすごいアウェーで闘い、勝利したことがあった。
2004年のアジアカップ決勝。日中戦争の折、日本軍が大爆撃をして多くの犠牲者を出した重慶での試合。日本選手に浴びせられた怒号とブーイング。コートの中に物も投げられたという。
その中で、日本の選手たちは闘い、勝った。
人々は言った。「日本チームが勝ったのは、それだけ思いが強かったのだ」と。

しかし、あきらめなければ、本当に思いは叶うのか?
強い思いをもって闘えば、勝てるのか?

結論を言えば、かなうこともあり、かなわないこともある。
「あきらめない」「強い思いをもつ」ということは、必要条件であって、十分条件ではないからである。
あきらめずにやり続けても、目標に対して自分の実力が伴わなければ、思いはかなわない。
勝ちたいと強く思っていても、自分より遥かに相手の力が優っていれば、勝てないということもある。
勝ちたいと思う気持ちが強すぎて、緊張のあまり、実力が出せないということもある。

しかし、あきらめずにやり続けなければ、また闘い続けなければ、思いはかなわない。
途中であきらめて、目標に向かって行動するのをやめてしまえば、思いはかなわない。

つまり、はっきり言えることは「あきらめなければ、思いはかなう」ではなく、
「あきらめて行動しなければ、思いはかなわない」ということだ。
あきらめずに行動し続けることが大事、ということだけが確かなことである。
そして、それが次のステップ、次の目標につながるということである。

コロナ禍の中、東京オリンピックの開催が危ぶまれている。
いくら強く思っていても、いくらあきらめなくても、場合によっては目標そのものがなくなるということもあり得るのだ。
そうなったときに大事なのは、ほんとうの目標はそこにあるのではない、と感じとる力だ。
本当の目標は、自分自身をみがくこと、そこに向かって努力し続ける力を身につけることだ。
そして、次のステップへ踏み出す力だ。




0 件のコメント: