2017/09/07

46 見つけた!朝顔観察の面白さ

 息子が放り出し、なんとか面白くやれないものかと始めた朝顔の観察。
 これは思わぬ私の楽しみになった。
 私が観察を始めたのは夏休みに入ってからであるから、花が咲き始め、小さなつぼみがたくさんついた状態になっているものであった。
 思えば、ここからスタートしたというのが良かった。

 早起きして朝顔を見に行くと、花はもう咲いている。
 7時はもちろんのこと、6時でももう完全に開いている。
 いったい朝顔は何時に咲くの?まず疑問になったのはそんなことだった。


★ 朝顔はすごい! 一日で10cmも大きくなるつぼみ


 つぼみはごく小さなものができてから、1cmぐらいになるまでは時間がかかる。
 しかし、1センチを超え、少しふくらみが出ることになると、そこからは驚くほど速く成長する。
 朝1~2センチぐらいだったつぼみが、夕方までに一気に10cmにまで大きくなり、翌朝には開花してしまうのだ。

 観察を始めて何日目かの昼、通りすがりに何気なく朝顔をみて私はオヤッ?と思った。
 朝1cmぐらいだったつぼみが倍ぐらいに大きくなっているように見えたのだ。
 私は何だかワクワクして、つぼみの大きさを1時間おきぐらいに測って見た。
 すると、測るたびに大きくなっている。夕方にはもう6cmになった。
 娘にこのことを教えると、彼女も興味を持って測り始めたので、後は娘に任せる。
 夜になってもつぼみは大きくなり続け、子どもたちが寝るころには8~9cmになっていた。
 これはもう明日開くね、早起きして、開くところを見ようねと娘と約束した。
 
 しかし、翌日5時に起きて見に行くと、もう完全に開ききっている。
 えー、咲いちゃったの。あんた咲くの早いのね~。でも次は絶対見るからね。
 次に咲くのはこれかな~。夜までにつぼみがすっかり大きくなっているのを確認する。
 ところが翌日、さらに1時間は早く起きたにもかかわらず、もう咲いている。
 よ~し、こうなったらもう寝ずの番だ。この次は朝まで起きていて、絶対つぼみが開くのを盛るからねと、家族に宣言。すると、それは皆で見ようということになり、息子も交えた親子4人で真夜中の観察会となった。


★ 夜中の観察会


 朝顔の鉢を縁側におき、すぐ隣のリビングルームに布団を敷き、いつでも途中で寝られるようにし、夜食も用意しての観察会を始めた。
 12時を過ぎ、つぼみは10㎝にまでなっている。するとまもなく、つぼみは開き始まった。2時ごろには傘を少し開いた時のようになった。予想以上に開き方は速かった。それから少しずつ少しずつ
開いていき、4時にはもうほとんど全開となった。
 「こんなに早く咲いちゃうんだね」「朝顔ってホントに早起き」「早起きというより寝てない」

 朝には1㎝ほどだった小さなつぼみが、その日の夜までの十数時間で10センチほどまで生長し、翌日の夜明け前までに全開となる。
 一晩寝ずに観察して感じたこの朝顔の成長のエネルギー、まさに感動ものだった。
 「朝顔ってすごいね~」 親子4人共通の思いだった。
 
 残念ながら、この時の写真は上手にはとれず、下に掲載したのは翌年のもの。朝顔は鉢ではなくプランターに植えたものである。


★ 初めは5個だった種が・・・


 息子が学校から持ち帰った朝顔の鉢(苗5本)からは、最終的に1本あたり合計30~40の花が咲き、花1つあたり4~5個の種、計900個の種が取れた。
 最初の種1個からは平均180個の種がとれたことになる。

 この900の種が翌年全部芽を出し、1個当たりまた180個の種がとれるとしたら?
 900×180で、何と16万2千個になる。
 その16万200個の種が、また翌年全部芽を出し180個ずつ種が取れるとすると?
162000×180=29160000 なんと種の数は約300万個になるのだ。

 すごいね。こうやって子孫を残していくんだね。
 植物ってすごいね。
 みんなそうなの?
 さあ、どうかな?

 でも、あまり朝顔ってどこにでも咲いていないね。
 タンポポはさあ、いろんなところに咲いてるけど、朝顔は咲いてないね。
 さあ、どうしてだろう。どこが違うのかな。

 やってみてわかったことから、感動が生まれる。
 そして次の疑問もわいてくる。
 疑問は、探究の出発点だ。


★ 提案 : 朝顔観察は、まず開花から


 学習というものは、何かをわからせるためというより、まず興味・関心を持たせるためにやることだと思う。文科省の指導要領では朝顔の観察により、『植えつけ』『発芽』『開花』『種取り』の過程を経験させ、命の大切さを感じさせることができるというのだが、種を植えてから種取りに至るまでには4~5ヵ月かかる。1年生には結構長い期間である。

その間、定期的に水やりをし、成長の過程課程を観察していく。種の色、形、大きさとか、葉っぱの裏には毛が生えているとか、ツルの巻く方向とか、何のためにそのことを調べるのか、正直よくわからない。そしてだいたいその結果は教科書に書いてある。発見がない。

観察をするのは1年生、67歳の子どもたちだ。その子どもたちに、植物ってすごいな、観察って面白いなと感じさせるには、この観察は地味すぎるのではないか。だから、我が息子のように動くものの方に興味を持ってしまう子や、根気がいま一つというような子には、やらされ感が強くだんだん興味を失ってしまう。
 


そこで提案だが、1年生には、まず『開花』のところから観察させてはどうだろう。
もう翌日には咲くというつぼみがついた段階で観察させるのだ。朝から夕方まで1~2時間ごとに観察し、つぼみの大きさの変化を調べるのだ。何人かのグループで1つの鉢について観察してもよい。測るたびに大きくなっていくのを見ると、驚きと期待感がわきあがる。
明日開花すると確信したところで、そのつぼみに印をつけておき、翌朝早く観察会をし、開花を確認する。盛り上がり具合で、出来れば夜中の観察会をやり、開花の様子をみんなで見たいところだが、無理なら、夏休みに持って帰って家族で観察することを勧めるということでもよい。
つぼみがつくまでの、朝顔は上級生が育てる。前の年に開花を観察した2年生が1年生のために育てるのだ。その育てる過程で、2年生は『植えつけ』『発芽』『開花』『種とり』の過程を観察する。
前の年に開花の様子を観察していれば、そこに至るまでどういう過程があるのかという視点を持たせられるので、観察の世界にも入りやすくなる。
それに、1年生に朝顔の開花を見せてあげようと頑張るのもよいではないか。
最初の観察では、ちまちましたことではなく、まず朝顔という植物のエネルギーを感じさせる。そこで感じた驚きや感動が対象への興味を生み出し、探究の意欲を創出するのだと思う。
生態を観察するのは、それからでよい。対象についての探究意欲が出れば、生態についても観察したくなるのだから。